8・12連絡会からの要望書


平成20年7月12日

国土交通大臣 冬柴鐵三 様
国土交通省 航空・鉄道事故調査委員会 委員長 後藤 昇弘 様

                  8・12連絡会
                  (日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故被災者家族会)

 日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落し、520人が亡くなって今年は、23年になります。遺族や安全を求める多くの人々は、23年の間一歩一歩御巣鷹の尾根をめざし、安全を願ってきました。そして、御巣鷹は「市民が安全を願う聖地」になったように思います。今後もこの山に登る多くの市民と公共輸送機関の事業者、監督官庁らが心をひとつにして安全の鐘を鳴らし、事故を伝え安全をすくい取っていくことが、失われた命を生かしていく途であると信じます。

 私たち8・12連絡会は、事故後から公共輸送機関の業者、監督官庁、行政に対し、再発防止のための安全対策の促進を求めてきました。安全をさらに向上させるためには、安全対策を企業や行政任せにするだけでなく、それをきちんとチェックしていく市民の連携が必要です。それが事故を抑止することになります。こうした「安全の文化」は、利用者である、私たち市民が協同して創っていくと考えてきました。 
事故調査については、この事故が不起訴となり「関係機関が責任を問われない」という結果を受け、「事故調査こそが真相解明の要」であることを確信しました。そこで、毎年、事故調査機関を完全独立機関とし、予算と人員の強化を図ると共に、遺族支援対策部門を設置することを求めてきました。
今年4月の国土交通省設置法改正案可決で、今年度秋、海難審判庁を事故調査委員会に統合して、「運輸安全委員会」を作るということが伝えられました。

 それによると、航空・鉄道事故調査委員会を拡大、強化し、海難事故も、事故調査の対象にするよう組織を拡大、陸・海・空の事故の原因究明のための機能を一元化し、現在の事故調査委員会より、組織の独立性を高めるとしています。アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)をモデルにし、事故調査委員会の組織を強化、事故の背後要因の分析や情報の共有化を進め、再発防止策の提言をし、同省の外局として独立性を高め、より客観的な事故調査・分析ができるようにする、又、事故を起こした会社や事業者全体に対する再発防止策の提言も直接勧告という形に変わり、調査機能を強化する、再発防止の勧告も国交相を通さず直接できるようになるとしています。又、事故被害者・遺族の心情も配慮して事故の情報を公開していくとしています。

 私たちは、このような制度の改革にもちろん賛成です。そして、このような改革の中で次のような私達の状況を踏まえた切実な要望も実現していただきたいと考えます。

 多くの事故被害者・遺族は、8・12連絡会のような組織で、心を一つにして、事故の再発防止事故原因の解明を求めています。しかし、その過程は、過酷です。まず、自身の生活を経済的、社会的に回復していかなければなりません。とくに弱い立場にある高齢者や、小さな子供を抱えた人々には、さらに過酷な日々が何年も続きます。その辛い日々の中でも、遺族が何よりも求めているのは、事故の再発防止です。そのためには、事故の原因を明確にさせることが絶対に不可欠です。それは、遺族にとって失われた命を生かしてもらうことを意味します。そうでなければ、残されたものは、肉親の死を納得することが出来ず、明日を見つけることができません。しかし、遺族への情報は、分散され、報道等で僅かに知るのみとなります。

 私たちは、事故後何度も事故調査の促進を要望し、調査の進捗状況を聞くために事故調査委員会に説明を求めて足を運びました。事故を起こした関係機関にひとつでも多くの勧告、建議をして欲しいからです。遺族会の会報などで、その情報を共有してきました。もちろん関係機関からの事故被害者・遺族へ様々な形で情報の提供はされてきました。それは、必須だと思いますが、公式の事故調査情報は公開されません。出来る限りの情報を公開することを望みます。

 又、事故直後から8・12連絡会では、会報・文集・集会を要に、いとまなく活動し、全国にいる遺族同士が、相互に助け合い、励まし合ってきました。23年を振り返り、遺族たちが一番必要としてきたのはその「心のケア」でした。二次、三次の被害を防ぐためにも、そして、遺族たちが、一日も早い社会復帰をしていくために心のサポートは欠かせません。8・12連絡会は今もその役目を担い活動を続けています。

 私たち遺族の状況は、以上のとおりです。これを踏まえて、今年度設置の「運輸安全委員会」には、

1、事故の情報をできる限り、事故被害者・遺族に公開する。

2、犯罪被害者等基本法に盛り込まれている犯罪の被害者・遺族への支援のように、事故被害者・遺族への支援を明文化し、「支援対策部門」を設置する。

3、委員会の人員、予算と専門性をさらに強化し、質量ともにより充実した事故の再発防止策を公共交通機関の事業者に直接提言勧告し、その内容を公開し、さらにその後どのように改善されたかという結果を市民に公表していく制度を構築する。

 上記3点をここに要望いたします。
                                               以上



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